写真はイメージです(Photo: Kristīne Zāle (Macro Viewpoint) / Unsplash)
英国のアングリア・ラスキン大学の研究チームが、花をめぐるミツバチとほかの虫の「場所とり」を2年間観察しました。その結果、ミツバチが多い場所では野生のマルハナバチなどが少なくなる傾向があり、気温が高いほど争いが激しくなることが分かりました。
どんな研究?
研究をまとめたのは、英国ケンブリッジにあるアングリア・ラスキン大学の大学院生、ビクトリア・バックルさんらのチームです。結果は昆虫の専門誌「エコロジカル・エントモロジー」にのり、大学が2026年10月14日に発表しました。
調査した場所は、ケンブリッジとその周りの5か所です。どこも、人が飼っているミツバチの巣から300m以内にあります。チームが注目したのは、ブラックベリーのなかまの植物「ブランブル」と、つる植物の「ツタ(アイビー)」の花です。どちらも蜜と花粉がたっぷりで、虫たちに人気の花です。
どうやって調べたの?
花に来た虫を、ミツバチ、マルハナバチ、1匹ずつ巣をつくって暮らすハチ(単独性のハチ)、ハナアブ、そのほか(チョウ・甲虫・スズメバチのなかま)の5つのグループに分けました。そして2年間で合計93時間、花の上での出会いをじっくり観察しました。
虫どうしが出会ったときは、相手をどかして花を使えたら「勝ち」、追い出されたら「負け」、けんかをせずにいっしょに食事をしたら「分け合い」として記録しました。地道な観察を積み重ねて、どの虫が花を手に入れやすいのかを調べたのです。
分かったこと
ミツバチは、ほかの虫よりも「勝ち」の割合が高いことが分かりました。ブランブルでは、ミツバチの数が2倍になると、マルハナバチの数が14%少なくなる関係が見られました。ツタでは、ミツバチが多いほど、単独性のハチやハナアブが少なくなりました。
ほかの虫がミツバチをさけた割合は、ブランブルで28%、ツタで36%でした。ミツバチが勝った場面の少なくとも5回に1回は、相手を押しのけたり、追いかけたりしていました。そんな中で、ミツバチにたびたび立ち向かったのが「アイビー・ビー」というハチで、ときには勝つこともありました。
暑いほど争いが激しくなるのはなぜ?
気温が高い日ほど、争いが増えることも分かりました。暑さで花の蜜が少なくなると、少ない食べ物をめぐって取り合いになると考えられています。また、マルハナバチやハナアブは暑さに弱く、すずしい天気のほうが動きやすいのに対し、ミツバチは気温が上がるほど活発になります。これまでの研究では、気温が12℃上がると、巣を出るミツバチが10倍になったという報告もあります。
英国では、養蜂(ミツバチを飼ってはちみつをとること)をする人が増えています。登録している人は、2010年の1万9000人から、最近は4万7000人になりました。チームは、養蜂をやめさせるのが目的ではないとしたうえで、巣が多い町の中などでは、ミツバチと野生の虫がいっしょに暮らせるようにすることが大切だと話しています。
豆知識:ミツバチとアイビー・ビー
日本にいるミツバチには、もともと日本にすむニホンミツバチと、明治時代に外国から入ってきたセイヨウミツバチがいます。体長はニホンミツバチが1〜1.7cm、セイヨウミツバチが1.2〜2cmほどです。はちみつをとるために主に飼われているのはセイヨウミツバチで、人が管理する巣箱がないと生きていけないとされています。花の蜜と花粉を食べ、ふだんはおとなしく、何もしなければ人を刺すことはめったにありません。
研究に登場したアイビー・ビーは、体長1〜1.3cmほどの単独性のハチです。英国では2001年に、イングランド南部のドーセットで初めて記録されました。おもにツタの花粉を食べ、8月の終わりから11月ごろまで飛び回ります。日本でもセイヨウミツバチは飼われていて、花をめぐる虫たちの関係は、わたしたちにも身近なテーマです。
ここがポイント
- 英国の大学が、ケンブリッジ周辺の5か所で2年間、合計93時間観察した
- ミツバチの数が2倍になると、マルハナバチが14%少なくなる関係が見られた
- 気温が高いほど、花をめぐる争いが激しくなった
- 研究チームは、ミツバチと野生の虫がいっしょに暮らせる工夫が大切だとしている
出典: Anglia Ruskin University「Honeybees exert flower power over other species」(2026年10月14日)、ScienceDaily(2026年10月22日)、Buglife「Ivy bee」(2026年10月27日確認)、神戸市「ミツバチと上手につき合おう」(2026年10月27日確認)
