写真はイメージです(Photo: David Clode / Unsplash)
渡り鳥が日本にやってくる季節になり、環境省は10月21日、野鳥の鳥インフルエンザの見張りを一段階強めました。10月末には宮城県で見つかったマガンが調べられ、強い病原性のウイルスではないとわかりました。インコや文鳥などを飼っている人も、あわてずに、ふだんの衛生管理を見直しておくと安心です。
韓国での確認をうけて見張りを強化
環境省の発表によると、韓国の順天湾で10月12日に集められた野鳥のふんから、「高病原性鳥インフルエンザ」のウイルス(H5亜型)が見つかったと、韓国が10月20日に発表しました。高病原性とは、鳥にとって重い病気を起こす力が強いという意味です。
韓国は日本のすぐ近くで、ちょうど渡り鳥が飛んでくる時期です。そこで環境省は10月21日、全国の野鳥の見張り(サーベイランス)を「対応レベル1」から「対応レベル2」に引き上げました。レベル2では、特に注意が必要な種類なら1羽でも死んでいれば検査の対象にするなど、見回りを強めて異変に早く気づけるようにします。この時点で、国内の野鳥で高病原性のウイルスが最後に確認されたのは2026年5月22日でした。
宮城県のマガンは「高病原性ではない」と確定
10月27日、宮城県栗原市で死んでいたマガン1羽が回収されました。その日のかんたんな検査で「A型」の鳥インフルエンザウイルスの反応が出たため、環境省は10月28日に発表し、見つかった場所のまわり10キロメートルを「野鳥監視重点区域」にして、見回りを強めました。
その後、くわしい遺伝子の検査が行われ、10月30日に「高病原性のウイルスは見つからなかった」と発表されました。宮城県の記録でも、結果は「低病原性」、つまり強い病気を起こすタイプではなかったとされています。重点区域は解除されましたが、全国での見張りは続いています。
なぜ冬に注意が必要なの?
マガンなどのガンやカモの仲間は、秋になると北の国から日本へ渡ってきて冬を過ごします。鳥インフルエンザのウイルスは、こうした渡り鳥といっしょに運ばれてくることがあるため、毎年秋から春にかけて注意が呼びかけられます。
環境省のまとめでは、2024年から2025年にかけてのシーズン(2024年9月〜2025年6月)に、野鳥や水・ふんなどの調査で227件の発生が確認されました。毎年のように起きているからこそ、早く見つけるしくみが大切なのです。
人や家で飼う鳥への心配は?
環境省は、感染した鳥とずっと近くでふれ合うようなことがなければ、人にはうつらないと考えられていると説明しています。鳥のふんなどにさわったあとは、手洗いとうがいをすれば、心配しすぎる必要はないとしています。
福岡県も、家の中で飼っている鳥は感染するおそれが低く、すぐに家庭の鳥がかかるわけではないと説明しています。また、鳥が死んでしまう原因はいろいろあるので、原因のわからない死が続かないかぎり、すぐに鳥インフルエンザを疑う必要はないそうです。
鳥を飼う人ができること
東京都は、ペットの鳥を飼う人に向けて、野鳥を近づけない工夫をまとめています。鳥小屋に野鳥が入れるすき間があればふさぐこと、国内で発生しているときは家の中で飼い、外での放し飼いはしないことなどです。水とえさは毎日取りかえ、えさは野鳥が入れない場所にしまいます。野鳥が来る池の水を飲み水に使わないことも大切です。
そうじは毎日1回、ふんなどのよごれを取りのぞきます。かわいたふんは舞い上がりやすいので、マスクと手ぶくろを使い、終わったら石けんで手を洗いましょう。消毒をする場合は、先によごれを落としてからでないと効き目がないとされています。消毒薬の選び方や使い方は、獣医師に相談するのが安心です。
毎日、鳥の様子を見ることも大事です。横浜市は、急に食欲がなくなる、羽をふくらませてうずくまる、といった様子に気をつけるよう案内しています。いつもとちがうと感じたら、かかりつけの獣医師に相談してください。
死んだ野鳥を見つけたら
散歩の途中などで死んだり弱ったりしている野鳥を見つけても、手でさわらないようにしましょう。環境省は、直接ふれずに都道府県や市町村に連絡するよう呼びかけています。特に、同じ場所でたくさんの鳥が死んでいるときは、必ず知らせてください。
ここがポイント
- 環境省は10月21日、韓国での確認をうけて野鳥の見張りを「対応レベル2」に強めた
- 宮城県栗原市のマガンは、10月30日の検査で高病原性ではないと確定した
- 家の中で飼う鳥は感染のおそれが低い。野鳥を近づけない、毎日のそうじと手洗いが基本
- 鳥の様子がおかしいときはかかりつけの獣医師へ。死んだ野鳥にはさわらず自治体へ連絡
出典: 環境省「韓国での高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の確認に伴う野鳥サーベイランスの対応レベルの引き上げについて」(2026年10月21日)、環境省 宮城県栗原市の死亡野鳥の簡易検査陽性に関する発表(2026年10月28日)、環境省 宮城県栗原市の野鳥の確定検査結果(高病原性陰性)(2026年10月30日)、宮城県 令和8年度野鳥における鳥インフルエンザの検査状況等(2026年10月30日)、環境省「2024~2025年シーズンの鳥インフルエンザのサーベイランスの結果・発生状況」(2026年3月)、東京都保健医療局 ペットの鳥の飼い方(鳥インフルエンザ対策)、福岡県 ペットの鳥を飼っている方へのお知らせ(2020年11月26日更新)、横浜市 高病原性鳥インフルエンザについて(2025年10月3日更新)
