写真はイメージです(Photo: Hans-Jurgen Mager / Unsplash)
東京の恩賜上野動物園で暮らしていたホッキョクグマのオス「イコロ」(17歳)が、11月2日に大阪市の天王寺動物園に到着しました。天王寺動物園で暮らすメスの「ホウちゃん」との赤ちゃん誕生をめざします。いまは検疫中のため、お披露目はもう少し先になりそうです。
上野から大阪へ 到着した日の様子
天王寺動物園が11月6日に公式ブログで伝えたところによると、イコロは11月2日に到着しました。運ばれてきた輸送箱は、ホッキョクグマの施設「ポーラーベアコースト」の裏側(バックヤード)に置かれ、イコロは箱から出るとすぐに寝室へ入りました。水を飲み、その後に出されたごはんもきれいに食べたそうです。
上野動物園の担当者は、引っ越しにそなえて、食事の中身を天王寺動物園のメニューに少しずつ近づけていました。到着した夜は、ぐっすりとまではいかないものの、横になって休む時間もあったということです。体重は290kgで、ホウちゃん(約240kg)より50kgほど重く、骨太な体つきだそうです。
自分から箱に入るまで待った引っ越し
この引っ越しは、10月2日に上野動物園と天王寺動物園の両方から発表されていました。大きなホッキョクグマを無理に箱に入れると、けがや強いストレスにつながります。そこで、イコロが自分から輸送用のおりに入るよう練習を重ね、その様子を見て出発の日を決める方法がとられました。発表の時点では「10月下旬から11月中旬ごろ」とされていた予定どおり、無事に大阪に着いたことになります。
イコロは2008年12月9日に札幌市円山動物園で生まれました。今回の移動は、日本動物園水族館協会(全国の動物園・水族館の団体)のホッキョクグマの計画にもとづくものです。東京都の発表によると、2026年8月末の時点で、国内のホッキョクグマは16の園館に29頭(オス11頭、メス18頭)しかいません。オスとメスの組み合わせを全国で考えながら、命をつないでいく必要があるのです。イコロが旅立った上野動物園はホッキョクグマが1頭になったため、これから新しいオスを迎えたいとしています。
豆知識:ホッキョクグマは海の氷の上のハンター
ホッキョクグマは北極のまわりにすむクマで、学名は「海にすむクマ」という意味です。大人のオスは体長2.5mほど、体重は800kgほどになりますが、食べ物が少ない季節には300kgほどまでやせることもあります。寿命は野生で25年ほど、動物園では25〜30年ほどです。
おもな食べ物はアザラシで、海の氷にあいた息つぎの穴の前で待ちぶせしてとらえます。白く見える毛は、じつは中が空洞のストローのようになっていて、色はすき通っています。光の当たり方でクリーム色がかった白に見えるのです。メスは秋に雪の中の巣穴にこもり、11〜12月ごろ、体重600〜700gほどの小さな赤ちゃんを産みます。
なぜ大事? 氷がとけて野生の数が心配
ホッキョクグマは国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、絶滅のおそれがある「危急種」とされています。地球温暖化で海の氷が張る期間が短くなり、狩りをして栄養をたくわえる時間がへっていることが心配されています。動物園で繁殖を続けることは、この動物について学び、守るための大切な取り組みです。
イコロは今、検疫(病気を持ちこんでいないかを確かめる期間)のため、検査で問題がないとわかるまで、ホウちゃんとは完全に分けた部屋で過ごしています。一般の人が見られるようになる日は、天王寺動物園の公式サイトやSNSで確認しましょう。天王寺動物園の休園日は毎週月曜日(休日の場合は翌日)です。
ここがポイント
- ホッキョクグマのオス「イコロ」(17歳、体重290kg)が11月2日に上野から天王寺動物園に到着
- メスの「ホウちゃん」との繁殖をめざす。いまは検疫中で、お披露目はまだ先
- 国内のホッキョクグマは16園館29頭だけ。全国で計画を立てて命をつないでいる
- 温暖化で海の氷がへり、野生のホッキョクグマの暮らしが心配されている
出典: 天王寺動物園ブログ「ホッキョクグマのイコロが天王寺動物園に仲間入り」(2026年11月6日)、天王寺動物園ブログ「ホッキョクグマが来園します」(2026年10月2日)、東京都「ホッキョクグマの『イコロ』を移動します」(2026年10月2日)、札幌市円山動物園「ホッキョクグマ」
