写真はイメージです(Photo: Zdeněk Macháček / Unsplash)
10月30日は「世界キツネザルの日」でした。アフリカの島国マダガスカルにだけすむキツネザルのなかまは、世界でも特に絶滅が心配されているサルのグループです。この日に合わせて、キツネザルの森をとりもどす取り組みが改めて紹介されています。
世界キツネザルの日ってなに?
世界キツネザルの日は、毎年10月の最後の金曜日です。2026年は10月30日で、ハロウィーンの前の日にあたりました。キツネザルと、そのすみかである森を守ろうとよびかける日で、保護団体のネットワーク「レムール・コンサベーション・ネットワーク」が中心になって広めています。
始まりは、2014年にマダガスカルの首都アンタナナリボで開かれたお祭りです。マダガスカルの研究者、ジョナ・ラツィンバザフィさんが呼びかけました。今では10月の1か月間、世界のあちこちでキツネザルについて学ぶ催しが開かれています。
キツネザルはどれくらいピンチ?
環境保護のニュースサイト「モンガベイ」によると、マダガスカルには100種をこえるキツネザルが知られています。国際自然保護連合(IUCN)という、世界の生きものの絶滅のおそれを調べている団体は、2020年7月に、当時の107種のうち103種が絶滅のおそれがあると発表しました。そのうち33種、およそ3割は、絶滅のおそれが最も高い「深刻な危機」にあるとされています。
大きな原因は、森がへってしまうことです。畑をつくるために森を焼いたり、炭やまきにするために木を切ったりして、すみかがなくなっています。森がとぎれとぎれになると、キツネザルは別の森へ移ることができず、なかまと出会う機会もへってしまいます。
森と森をつなぐ「回廊」づくり
そこで、マダガスカルの東部で進んでいるのが、はなれてしまった2つの保護区を、新しく植えた森でつなぐ計画です。このような森の通り道を「回廊」といいます。つなぐのは、アンダシベ・マンタディア国立公園とアナラマザオトラ特別保護区で、どちらにも10種ほどのキツネザルがすんでいます。この一帯の森は、1960年代に畑や牛の放牧地にするため、広く切り開かれてしまいました。
計画は2023年に始まりました。長さ約6キロ、はば約500メートルの帯のような土地に、合わせて150ヘクタールの森をよみがえらせる予定です。150ヘクタールは、東京ドームおよそ32個分の広さです。植えるのは、近くの森で集めたたねから育てた、もともとマダガスカルに生えている木だけです。2026年4月の報道では、すでに70ヘクタールに100種類をこえる木が植えられ、くわしく調べている区画では、植えた苗のうちかれてしまったのは約4%だけでした。植え終わるのは2027年12月の予定です。
もう森に動物がもどってきた
うれしいことに、植えてから数年で、キツネザルが姿を見せ始めています。英語で「竹のキツネザル」ともよばれるハイイロジェントルキツネザルの家族が、新しい森をおとずれました。また、音を記録する機械で、グッドマンネズミキツネザルの声も録音されました。人の耳には聞こえない、とても高い声です。
ネズミキツネザルは、体重が23〜98グラムほどしかない、世界でも特に小さいサルのなかまです。夜に活動し、大きな目で暗い森を動き回って、果物や虫などを食べます。いっぽう、体の大きなキツネザルがもどってくるのは、木がもっと大きく育ってからになりそうだと専門家はみています。地元の人たちも、苗木を植えたり育ち具合を見回ったりする仕事について、森づくりを支えています。
豆知識:日本でも会えるワオキツネザル
キツネザルのなかまで、日本の動物園でよく見かけるのがワオキツネザルです。しっぽに白と黒の輪のもようがあるので「ワオ(輪尾)」という名前がつきました。マダガスカルの南部にすみ、果物や木の芽、葉、虫などを食べます。寿命は野生で約15年、動物園などでは約25年です。寒い日には、日なたぼっこをして体を温める姿も見られます。
大阪のニフレルでは、11月1日まで、ワオキツネザルのふるさとマダガスカルを紹介する企画を開いています。動物園でワオキツネザルを見かけたら、遠い島の森のことも思い出してみてください。
ここがポイント
- 世界キツネザルの日は毎年10月の最後の金曜日で、2026年は10月30日だった
- キツネザルは100種をこえ、IUCNの2020年の発表では107種中103種に絶滅のおそれがある
- マダガスカル東部では、2つの保護区を150ヘクタールの森でつなぐ計画が進む
- 新しい森には、もう小さなキツネザルがもどり始めている
出典: Mongabay「World Lemur Day」(2026年10月30日)、Mongabay「A reforestation corridor in Madagascar」(2026年4月14日)、Lemur Conservation Network「World Lemur Day」、IUCN(2020年7月10日)、Mongabay Kids「Meet the mouse lemurs」、札幌市円山動物園「ワオキツネザル」、ジョルダン「ニフレル マダガスカルにふれる」(2026年9月28日)
