写真はイメージです(Photo: Jefferson Sees / Unsplash)
イギリスでは11月になると、あちこちで花火が打ち上げられる季節をむかえます。イギリスのノッティンガム・トレント大学で動物について研究するジャクリーン・ボイドさんは、花火をこわがる犬や猫のために、早めに準備しておくことの大切さを呼びかけています。日本でも花火大会や雷の音をこわがるペットは多く、参考になる内容です。
イギリスで花火が多いのはなぜ?
イギリスでは、毎年11月5日ごろを中心に「ガイ・フォークス・ナイト」(ボンファイア・ナイト)とよばれる行事があり、各地で花火やたき火が行われます。さらに大みそかの年越しなどでも花火が上がるため、秋から冬にかけては、ペットにとって大きな音が続く時期になります。
イギリスの犬の団体「ロイヤル・ケネル・クラブ」が2024年に発表した調査では、飼い主のおよそ30%が「自分の犬は花火をとてもこわがっている」と答えました。また、この団体が運営する迷子の犬の登録サービスでは、前の年の11月の花火が多い時期に、行方不明として届けられた犬が81%も増えたといいます。
なぜペットは花火がこわいの?
ボイドさんは2026年10月に公開した解説で、花火は「いつ鳴るか分からない」「音が大きい」「急に光る」という特ちょうがあると説明しています。人間は花火がお祝いのためのものだと分かっていますが、動物にはその意味が分かりません。そのため、体がかたまったり、筋肉に力が入ったりする「びっくり反応」が起こり、危険にそなえる体の状態になってしまうのです。
こわがっているときのサインとしては、にげようとする、かくれる、鳴く、ふるえる、ハアハアと荒い息をする、ベッドをほったりかじったりする、などがあげられています。中には、にげようとしてけがをしたり、事故につながったりする例もあるそうです。
ブラジルの大学が2018年に発表した研究では、花火の音が苦手な犬12頭と苦手でない犬6頭に花火の音を聞かせて比べました。その結果、苦手な犬は心臓の動きが速く、ふるえたり、かくれたり、にげ出そうとしたりする様子が多く見られました。
今からできる準備
ボイドさんがすすめるのは、時間をかけて音に慣れてもらう練習です。花火の音を録音したものを、まずはとても小さな音で流し、そのあいだにごはんやおやつ、遊びの時間を楽しんでもらいます。少しずつ音を大きくしていき、「この音はこわくない」「この音がするといいことがある」と覚えてもらうのがねらいです。子犬や子猫のころから、いろいろな音や景色に楽しく出会っておくことも、のちの音へのこわがりを減らすのに役立つかもしれないとしています。
また、急に音をこわがるようになったときは、体のどこかに痛みがかくれていることもあるそうです。関節の痛みなどがある動物は、音にも敏感になりやすいといわれています。気になるときや、練習の時間がないときは、かかりつけの獣医師に相談しましょう。薬やサプリメントを自分の判断で使うのではなく、専門家の意見を聞くことが大切です。
花火の夜に気をつけたいこと
花火が上がる日は、犬や猫を家の中で安全に過ごさせます。うさぎなど、ふだん外で飼っている小さな動物も、家の中に入れてあげるとよいそうです。犬の散歩は、暗くなる前にリードを付けてすませておきましょう。
家の中では、カーテンを閉めて光をさえぎり、テレビやラジオ、落ち着いた音楽を流して外の音を目立たなくします。布をかけたケージやソファのうしろなど、暗くて静かなかくれ場所を用意するのもおすすめです。飼い主があわてると、その気持ちがペットにも伝わることがあるので、落ち着いてやさしく声をかけてあげましょう。こわい思いをしたあとは、ゆっくり休める時間をつくることも大切です。
日本でもいかせるポイント
日本では夏の花火大会や、夏から秋にかけての雷、年末年始のイベントなどで、大きな音が続くことがあります。もしペットがパニックになって外へ飛び出してしまったときのために、迷子札を付けておくことや、マイクロチップの登録情報を最新にしておくことが役立ちます。日本では2022年6月1日から、販売される犬や猫へのマイクロチップの装着が義務になり、住所などが変わったときは届け出をすることになっています。
ここがポイント
- 花火は「突然」「大きい音」「強い光」がそろうため、動物はびっくりしやすい。
- 録音した音を小さな音から流し、楽しいことと結びつけて少しずつ慣らす方法がある。
- 花火の夜は、ペットを家の中で過ごさせ、カーテンや音楽で音と光をやわらげる。
- 迷子札やマイクロチップの情報を確かめ、心配なときはかかりつけの獣医師に相談を。
出典: Phys.org(ノッティンガム・トレント大学)「Why are pets scared of fireworks?」(2026年10月15日)、Countryfile「One in three dogs ‘terrified’ of fireworks」(2024年11月5日)、PLOS ONE「Use of behavioural and physiological responses for scoring sound sensitivity in dogs」(2018年8月1日)、環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」(2026年10月26日閲覧)
