写真はイメージです(Photo: Siarhei Valchok / Unsplash)
ドイツで、ふつうの飼い犬と飼い主がチームを組み、自然の中に入りこんだ外来植物をにおいで探す取り組みが行われました。研究チームによると、野外テストを受けた12チームのうち11チームが合格し、平均でおよそ75%の植物を見つけることができました。
飼い犬と飼い主が「探知チーム」に
この研究を行ったのは、ドイツのヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)のアンネグレート・グリム=ザイファルトさんたちです。結果は2026年11月4日、科学の専門誌「PLOS One」に発表されました。
研究チームは2021年から2023年にかけて、31匹の犬とその飼い主を、ボランティアの「探知チーム」として育てました。参加した犬は特別な警察犬や救助犬ではなく、ダックスフンドやシェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドゥードル、いろいろなミックス犬など、ふだん家庭で暮らしている犬たちです。
飼い主は、オンラインの講座と実際の練習を通して学びました。経験のある犬のトレーナーや、植物や生き物の専門家が手助けしました。
3種類の植物をにおいで覚える
犬たちが探したのは、ヨーロッパで問題になっている3種類の外来植物です。英語で「ヒマラヤン・バルサム」と呼ばれるツリフネソウのなかま、北アメリカ生まれのブタクサ、そしてイタドリのなかまです。
練習は2つの段階に分かれていました。まず、目当ての植物を見つけたら、植物にはさわらずに、立ち止まる・おすわりする・ふせるなどして飼い主の目を見る「合図」を覚えます。これができた犬だけが、次の段階で本当に植物を探す練習に進みました。ごほうびには、おもちゃとおやつの両方を使うのがいちばんうまくいったそうです。もともとにおいを探す遊びや訓練をしたことがある犬は、覚えるのが早かったといいます。
野外テストの結果は?
練習の最後には、自然の中で本当に植物を探す野外テストが行われました。テストを受けた12チームのうち11チームが合格し、合格したチームは平均でおよそ75%、つまり4か所のうち3か所ほどの植物を見つけました。
また、探していない種類の植物に、まちがって合図を出した犬はいなかったと報告されています。研究チームは、ボランティアの犬と飼い主でも、外来植物を早く見つける手伝いができる可能性があるとまとめています。
なぜ外来植物を早く見つけたいの?
外来植物とは、もともとその土地にはなく、人の活動によって外から持ちこまれた植物のことです。数がふえると、もとからある植物の場所をうばい、そこにすむ生き物にも影響が出ます。外来種は、世界で生き物の種類がへっていく大きな原因の一つとされています。
いったん広がった外来植物を取りのぞくには、お金も時間もたくさんかかります。そのため、芽が出たばかりの小さいうちに見つけることが大切ですが、小さな草を目で探すのはとてもたいへんです。そこで、においで探せる犬の力に注目が集まりました。
豆知識:日本とつながる植物も
今回の植物のうち、イタドリのなかまは、もともと日本や中国、朝鮮半島にふつうに生えている植物です。ヨーロッパには1700年代のなかごろ、庭をかざる植物として持ちこまれました。地下にのびるくきで広がり、小さなかけらが土に残るだけでまた生えてくるため、向こうでは駆除がむずかしい植物として知られています。
反対に、ブタクサは北アメリカ生まれで、日本では外来植物です。明治時代のはじめごろまでに入ってきて、昭和のはじめごろに根づいたとされ、今では沖縄をふくむ日本のほとんどの地域で見られます。花粉症の原因になることでも知られています。ある場所ではふつうの植物が、別の場所では困った外来植物になる、ということがよく分かる例です。
これからの課題と期待
研究チームは、うまくいった点だけでなく、課題も挙げています。ボランティアの選び方や連絡の取り方、犬の練習の進め方、最初に野外で活動するときの手順などを、もっとよくする必要があるといいます。やる気があるだけでは足りず、たしかな調べ方を身につけることが大切だという考えです。
今回の研究は、ボランティアの犬が実験室ではなく野外で外来植物を探した、数少ない例の一つとされています。日本では海外のこの研究に直接参加することはできませんが、家庭の犬と飼い主が、楽しみながら自然を守る手伝いをする時代が来るかもしれません。
ここがポイント
- ドイツの研究機関が、31匹の飼い犬と飼い主を外来植物の「探知チーム」に育てた
- 野外テストでは12チーム中11チームが合格し、平均でおよそ75%の植物を見つけた
- 探した植物の一つ、イタドリのなかまは日本などがふるさとの植物
- 外来植物を早く見つける新しい方法として期待されている
出典: EurekAlert!(PLOS One のニュースリリース)(2026年11月4日)、PLOS One 掲載論文(2026年11月4日)、wissenschaft.de「Hunde erschnüffeln invasive Pflanzen」(2026年11月5日)、ブリタニカ百科事典「Japanese knotweed」(2026年11月8日確認)、国立環境研究所 侵入生物データベース「ブタクサ」(2026年11月8日確認)
