写真はイメージです(Photo: Joshua J. Cotten / Unsplash)
福岡県の大牟田市動物園に、黒い毛と白いもみあげが特徴のサル「フランソワルトン」のメス「モカ」(8歳)が、横浜市のよこはま動物園ズーラシアから引っ越してきます。来園は11月6日(金)の予定です。園で暮らすオスの「タントン」とペアになり、赤ちゃん誕生をめざします。
横浜から九州へ、8歳のメスが引っ越し
大牟田市動物園は11月2日、公式サイトでモカの来園を知らせました。モカは8歳のメスで、これまでよこはま動物園ズーラシアで暮らしていました。大牟田市動物園には、オスのフランソワルトンが1頭(タントン)いて、モカが来たあとは、繁殖に向けてペアにしていく予定です。
横浜から福岡県南部の大牟田市までは、とても長い道のりです。動物の引っ越しは、乗り物での移動や新しい部屋に慣れることなど、動物にとって負担もあります。園は、モカが着いたらあらためて様子を知らせるとしています。
なぜ引っ越すの? 動物園どうしの「お見合い」
今回の移動は、日本動物園水族館協会(全国の動物園や水族館が集まる団体)が作っている、フランソワルトンの「管理計画」にもとづいています。数の少ない動物は、1つの園だけで育てていると、親せき同士でしか子どもができなくなったり、オスとメスの数がかたよったりします。そこで、全国の園で血筋や年齢を記録し、相性のよさそうな組み合わせを考えて、動物を貸し借りしたり引っ越しさせたりしているのです。
人間でいえば「お見合い」のようなものですが、相手と仲よくなれるかどうかはその動物しだい。すぐにペアになれるとは限らず、飼育員が様子を見ながら、少しずつ顔を合わせる時間を作っていくのがふつうです。
豆知識:フランソワルトンってどんなサル?
フランソワルトンは、ベトナム北部と中国南部の森にすむサルです。石灰岩でできたけわしい山の森で暮らし、がけや木の上を身軽に動きまわります。体は黒い毛におおわれ、耳のふちからほおにかけて、もみあげのように白い毛が生えているのが目じるしです。頭のてっぺんの毛は三角にとがり、しっぽは体よりも長く、木の上でバランスをとるのに役立ちます。体の高さは60cmほど、体重はオスが6.5〜7.8kg、メスが5.5〜7.9kgくらいで、動物園では25歳まで生きた例があります。
食べ物のおよそ半分は木の葉で、ほかに芽や花、木の皮、ときどき果物や虫も食べます。葉っぱは消化しにくい食べ物ですが、いくつかの部屋に分かれた胃を持っていて、かたい葉も時間をかけて分解できます。もう一つおもしろいのが赤ちゃんの色です。生まれたばかりの赤ちゃんはあざやかなオレンジ色で、大きくなるにつれてだんだん黒くなっていきます。
野生では数が大きく減っている
フランソワルトンは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧種」とされています。この40年ほどで数が半分以下に減り、野生に残っているのは2,500頭以下と考えられています。石を切り出すことや、まきを集めること、森を焼いて畑にすることで、すみかの森がこわされたり、細かく分断されたりしているのが大きな原因です。
だからこそ、動物園で血筋を考えながら数を保っていくことが、この動物を未来に残すための「保険」になります。モカとタントンのペアづくりも、その大切な一歩です。
見に行くときは
引っ越してきた動物は、まず新しい部屋や食べ物、飼育員に慣れる期間が必要です。モカがいつから見られるかは、園の公式サイトや発表を確認しましょう。会えたときには、モカとタントンがどんなふうに距離をちぢめていくのか、ゆっくり見守ってあげてください。
ここがポイント
- フランソワルトンのメス「モカ」(8歳)が、ズーラシアから大牟田市動物園へ11月6日に来園予定
- 日本動物園水族館協会の管理計画による移動で、オスの「タントン」とペアをめざす
- ベトナム北部と中国南部の森にすむ黒いサル。赤ちゃんはオレンジ色
- 野生では2,500頭以下とされる絶滅危惧種。公開時期は園の発表を確認しよう
出典: 大牟田市動物園 お知らせ(フランソワルトン「モカ」の来園)(2026年11月2日)、New England Primate Conservancy「Francois’s Langur」
