写真はイメージです(Photo: Majkl Velner / Unsplash)
「犬といっしょに寝ると、眠りをじゃまされる」と感じる人は少なくありません。ところが、カナダのトロント大学の研究チームが人と犬の夜の動きを記録したところ、いっしょに寝ても人の睡眠時間や眠りの効率に、はっきりした差は見られませんでした。動きのタイミングを調べると、人が先に動いている組のほうが、犬が先の組より多いことも分かりました。
手首と首輪にセンサーを付けて約4週間
この研究の論文は、2026年10月7日に科学雑誌「PLOS One」で発表されました。論文の題名を日本語にすると「だれがだれをじゃましているのか?」という意味です。まとめたのは、ミン・フェイ・リーさんやラバニア・ナゲンドランさんらトロント大学のチームです。
参加したのは、カナダのオンタリオ州に住む25人(女性21人、男性4人)と、38頭の犬です。犬種はシベリアン・ハスキーとアラスカン・マラミュートだけにしぼり、年齢は2〜12歳でした。犬種がちがうと動き方もちがうため、その差が結果にまざらないようにしたのです。
調べ方はこうです。人は利き手ではないほうの手首に、犬は首輪に、動きを記録する小さなセンサーを付けました。センサーは1分ごとの動きを約4週間記録します。調査は2021年11月2日から12月9日まで行われ、新型コロナウイルスの影響があった時期のため、機器は参加者の家に送られました。集まった記録は、人が777晩分、犬が1,093晩分です。終わったあとには、眠りについてのアンケートにも答えてもらいました。なお、この調査は、犬とオオカミの活動をくらべる、もっと大きな研究の一部です。
いっしょに寝ても眠りの長さは変わらなかった
アンケートによると、犬といつもいっしょに寝る人は4人、ときどき寝る人は10人、いっしょに寝ない人は11人でした。センサーの記録では、犬といっしょに寝るかどうかで、人の睡眠時間や睡眠効率(ふとんの中にいる時間のうち、実際に眠っていた時間の割合)に、はっきりした差は出ませんでした。犬の夜の動きについても同じでした。参加者の睡眠時間の平均は、約6.2時間でした。
いっぽう、感じ方は少しちがいました。「犬に眠りをじゃまされる」と答えた人は約半数いました。ただし、くわしく聞くと、犬の鳴き声でじゃまされたとは感じなかった人が88%、犬の動く音でじゃまされたとは感じなかった人が84%いました。2頭以上の犬と暮らす人は、アンケートで眠りがよくないと答える傾向がありましたが、この点は確かな結論とまではいえないようです。
先に動いたのは人のほうが多かった
チームは、データがそろった36組の人と犬について、動くタイミングを前後5分の中でくらべました。すると、22組(61%)で、人と犬の動きに関係が見られました。この22組のうち、人が先に動いていた組は10組(45%)、犬が先に動いていた組は4組(18%)でした。残りの組では、同じ1分の中で動いていて、どちらが先かは分かりませんでした。
ただし、チームは「だれがだれをじゃましているのか」の答えは、まだ出ていないとしています。分かったのは、人と犬がおたがいの夜の動きに影響し合っているらしい、ということです。
ハスキーとマラミュートってどんな犬?
アメリカン・ケネル・クラブ(アメリカの犬の団体)の解説によると、シベリアン・ハスキーはシベリアの人々が、少ない食べ物で長い距離を移動するために育てた犬です。体重はオスが約20〜27kg、メスが約16〜23kgで、走ることが大好きです。アラスカン・マラミュートはアラスカの犬で、狩りや荷物運び、そり引きで人の暮らしを支えてきました。体重の目安はオスが約39kg、メスが約34kgと、ハスキーより大きな体をしています。
結果を読むときに気をつけたいこと
この研究には限りもあります。参加者は25人と少なく、女性が多めでした。調査の時期はロックダウン(外出などを制限すること)のころで、ふだんとはちがう生活だった可能性があります。音の原因を直接見て確かめたわけでもありません。また、ハスキーとマラミュートだけの結果なので、日本でよく見かける小型犬などにも同じことがいえるかは分かりません。もっと大きな調査が待たれます。
犬といっしょに寝るかどうかは、それぞれの家庭で考えることです。千葉県は、動物からうつる病気を防ぐために過剰なふれあいは控えるよう呼びかけ、同じふとんで寝ることにも注意が必要だとしています。動物にふれたあとは、せっけんで手を洗いましょう。犬の夜の様子や体調で気になることがあれば、かかりつけの獣医師に相談を。
ここがポイント
- 人25人と犬38頭の夜の動きを、約4週間センサーで記録した
- いっしょに寝ても、睡眠時間などにはっきりした差は出なかった
- 動きに関係があった22組では、人が先の組が犬が先の組より多かった
- 調べた犬種は2種類だけで、ほかの犬にも当てはまるかは分からない
出典: PLOS One 掲載論文(2026年10月7日)、ScienceAlert(2026年10月18日)、American Kennel Club(犬種の解説)、千葉県(2025年9月12日更新)
