写真はイメージです(Photo: Christian Lue / Unsplash)
アメリカのワシントン州立大学は2026年11月3日、犬の血を止めるはたらきをもつ「血小板」を冷蔵庫で保存しても、出血をおさえるのに役立ったとする研究を発表しました。これまで数日しかもたなかった血小板を最大3週間ほど保存できれば、いざというときに犬を助けやすくなると期待されています。
ワシントン州立大学の動物病院が発表
研究をしたのは、ワシントン州立大学の獣医教育病院です。病院の血液バンク(輸血用の血をたくわえておくところ)を担当するジリアン・ヘインズ獣医師たちのチームで、結果はアメリカの獣医学の学術誌「ジャーナル・オブ・ベテリナリー・インターナル・メディシン」にのりました。
チームは、2022年3月から2024年10月までに、この病院で冷蔵した血小板の輸血を受けた24匹の犬、合わせて27回の輸血の記録を調べました。犬たちは、病気などで血小板がへり、血が止まりにくくなっていました。
血小板ってなに?
血液の中には、酸素を運ぶ赤血球や、ばい菌とたたかう白血球のほかに、けがをしたときに集まって血を止める「血小板」があります。血小板が少なくなると、ちょっとしたことで血が出たり、なかなか止まらなかったりします。そんなときに、ほかの犬からもらった血小板を輸血することがあります。
今回の研究では、犬から献血してもらった約450mLの血を、機械で2回回して、血小板を約60mLにまとめました。ふつう血小板は20〜24℃の室温で保存し、もつのは5日ほどです。ヘインズさんは、血小板の輸血が必要になることは多くないものの、必要なときは「それしか方法がない」と、その大切さを話しています。
冷蔵で平均12日、約7割で出血がおさまる
今回使われた血小板は、4℃の冷蔵庫に入れ、ふらずにそのまま保存されました。使うまでの保存期間は平均12日でした。輸血のあと4時間以内に出血がよくなったのは27回のうち19回(70%)で、ほかに7回も少しよくなりました。24匹のうち19匹(79%)が、元気になって退院しています。記録の上では、輸血による悪い反応は見られませんでした。
冷蔵した血小板には、ばい菌がふえにくい、ずっとゆらしておく必要がない、遠くへ運びやすいといった良い点もあります。大学によると、冷蔵した血小板が犬の治療に役立つことを病院での記録で示したのは、今回が初めてだそうです。
これからの課題
ただし、今回は過去の記録をふり返った研究で、冷蔵していない血小板とくらべたわけではありません。ほかの治療もいっしょに受けていた犬もいます。チームは今後、どれくらいの量を使うとよいか、1匹ずつの効き目をどう確かめるか、3週間より長く保存できるかなどを調べる予定です。ワシントン州立大学では、冷蔵した血小板をいつも用意しておくようになり、ほかの病院のスタッフにもやり方を教えています。
豆知識:犬にも血液型がある
犬の血液型は13種類以上が知られていて、そのうち8種類が国際的な基準になっています。なかでも大切なのが「DEA1.1」という型で、これをもっている犬は全体の33〜45%ほどです。輸血のときは、型が合うかを確かめてから行います。
日本でも、元気な犬に献血の協力をお願いしている動物病院や大学病院があります。体重や年齢などの条件があるので、興味があれば、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。犬の体調で気になることがあるときも、まずはかかりつけの獣医師へ。
ここがポイント
- ワシントン州立大学が、冷蔵した血小板を輸血した犬24匹の記録を調べた
- 4℃で平均12日保存した血小板で、約7割の輸血で出血がよくなった
- 室温では5日ほどの保存期間が、最大3週間ほどにのびる可能性がある
- くらべる相手のない研究なので、これからさらに確かめる必要がある
出典: Washington State University「WSU research could save dogs facing life-threatening bleeding」(2026年11月3日)、Earth.com「A simple change could make lifesaving blood transfusions easier for dogs」(2026年11月4日)、Wikipedia「Blood type (non-human)」
