ハワイ島だけにすむ小さな鳥「アキアポラアウ」は、キツツキのように木に穴をあけて虫を食べます。アメリカ・シカゴ大学などの研究で、首の力にたよるキツツキとちがい、全身を使って木をけずっていることが、体のつくりからわかりました。研究は11月5日、学術雑誌「オーニソロジー」で発表されました。
上と下で形がちがう、ふしぎなくちばし
アキアポラアウは全長約14cmの鳥です。オスは頭があざやかな黄色で、目のまわりに小さな黒いもようがあります。メスは頭や背中がオリーブ色で、オスより少し小さく、くちばしも短めです。
いちばんの特ちょうはくちばしです。下のくちばしはまっすぐで短く、がんじょう。上のくちばしは細長く、下向きに大きく曲がっています。まず下のくちばしで木の枝をトントンとたたいて穴をあけ、そこへ細い上のくちばしを差しこんで、すき間にひそむ虫の幼虫などを引き出して食べるのです。虫のほかに、あけた穴からしみ出る木のしるを飲むこともあります。
体のつくりを調べてわかったこと
研究をまとめたのは、シカゴ大学の研究者でフィールド自然史博物館にも所属するアレクサンダー・クラークさんと、アメリカ地質調査所(USGS)でハワイの鳥を調べてきたポール・バンコさんです。博物館に保管されている骨などをもとに、体のつくりをくわしく調べました。
その結果、上のくちばしの中にある骨は、外側をおおう部分よりかなり短いことがわかりました。そのため上のくちばしはしなりやすく、すき間をさぐるのに向いています。さらに、足や足首の骨のつくり、足首を曲げる筋肉の大きなけんなど、体全体が木をけずるのに合った形になっていました。キツツキはおもに首の筋肉で木をつつきますが、アキアポラアウは足から生まれる勢いを使い、体ごとくちばしを打ちこんでいると考えられます。クラークさんは、そのようすを「斧をふるう」動きにたとえています。
ハワイで「キツツキの役」をする鳥
アキアポラアウは、ハワイミツスイ類というグループの一員です。この仲間の祖先は、数百万年前にアジアからハワイへやってきたアトリ科の鳥で、島ごとにさまざまなくちばしをもつ種に分かれました。ハワイ島でキツツキのような暮らしをしている鳥は、アキアポラアウだけです。人が住みつく前のハワイには60種以上のハワイミツスイ類がいたと考えられていますが、今も生き残っているのは17種ほどです。クラークさんは、ハワイが今の地球でもっともほかの陸地から離れた島々であることにもふれています。こうした環境の中で、独特な鳥たちが生まれてきたのです。
ハワイミツスイ類にいちばん近い仲間は、アジアなどにすむ「マシコ」の仲間(ローズフィンチ類)です。日本でも冬にオオマシコなどが見られます。日本のコゲラやアカゲラのような本物のキツツキとくらべると、遠い親せきの鳥が、別の方法で同じような暮らしにたどり着いたことになります。
数が少なく、子育てに時間がかかる
アキアポラアウは絶滅危惧種で、アメリカ鳥類保護協会によると、残っているのは800〜1,900羽ほどです。今は蚊がうつす鳥の病気をさけるように、標高約1,300〜2,100mの森でくらしています。今の生息地は、ハワイ島のある山の一つの斜面だけにかぎられています。1年に産む卵は1個だけで、巣立ったひなは4〜5か月ほど親といっしょに過ごし、暮らし方を身につけます。ハワイでは、森をフェンスで囲んで草食動物を入れないようにしたり、木を植えたりする取り組みが続いています。
ここがポイント
- アキアポラアウは、上下で形がちがうくちばしで木の中の虫を食べる
- 体のつくりを調べると、首だけでなく足や体全体を使って木をけずっていることがわかった
- 祖先はアジアから来たアトリ科の鳥で、日本で見られるオオマシコなどと近い仲間
- 残りは2,000羽たらずで、森を守る取り組みが続いている
出典: Popular Science(2026年11月5日)、American Bird Conservancy、Birds, Not Mosquitoes、Wikipedia「ʻAkiapōlāʻau」、Wikipedia「Hawaiian honeycreeper」