写真はイメージです(Photo: Amee Fairbank-Brown / Unsplash)
ヨーロッパの町にすむ鳥は、男の人より女の人が近づいたときのほうが、早く飛び立って逃げる――。そんな不思議な結果を、イタリアやチェコ、アメリカなどの研究者のチームが発表しました。英国生態学会が10月22日にあらためて紹介し、注目を集めています。なぜそうなるのかは、まだ分かっていません。
どんな研究?
研究をまとめたのは、イタリアのトリノ大学のフェデリコ・モレッリさん、チェコ生命科学大学プラハのヤニナ・ベネデッティさん、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校のダニエル・ブラムスタインさんたちのチームです。結果は、英国生態学会の学術雑誌「ピープル・アンド・ネイチャー」の2026年2月の号に論文としてのりました。
調査した場所は、チェコ、フランス、ドイツ、ポーランド、スペインの5か国です。町の公園や緑地にいる37種類の鳥を相手に、あわせて2,701回の観察を行いました。
どうやって調べたの?
調べたのは「逃げ出し距離」です。これは、人が鳥に向かってまっすぐ歩いていったとき、鳥が飛び立って逃げた瞬間の、人と鳥とのあいだの距離のことです。鳥がどれくらい人をこわがっているかを知る目じるしとして、よく使われています。
実験では、男の人と女の人が、身長や服装をそろえたうえで、同じように鳥へ近づきました。見た目のちがいで結果が変わらないように工夫したのです。対象になった鳥には、シジュウカラやイエスズメ、クロウタドリ、カササギ、ハトなどがいました。
分かったこと
結果は、男の人のほうが、女の人よりも平均で約1m近くまで鳥に近づけるというものでした。言いかえると、女の人が近づいたときは、鳥がおよそ1m手前で逃げてしまうということです。
おどろいたことに、この傾向は5か国すべてで、そして37種類すべての鳥で見られました。ちなみに、カササギは早めに逃げる鳥、ハトはなかなか逃げない鳥だったそうです。調査に加わったベネデッティさんは、女性の研究者として、鳥の反応が自分たちにちがったことにおどろいたと話しています。
なぜ女の人から早く逃げるの?
理由は、まだ分かっていません。研究チームは、においのような体から出る物質、体つきのちがい、歩き方のちがいなどを手がかりとして挙げていますが、どれもまだ確かめられていない考えです。ブラムスタインさんは「今は説明できない」と述べています。
チームは今後、ほかの場所やほかの鳥の集まりでも同じことが起きるのか、そして、においや歩き方などを一つずつ分けて調べる必要があると考えています。
豆知識:調べられた鳥たち
調査に出てきたシジュウカラ(英名グレート・ティット)は、ヨーロッパの庭や林でよく見られる小鳥です。英国鳥類学協会によると、おとなの体重は平均でおよそ19g、翼の長さはおよそ7.5cmです。夏はおもに虫を食べ、冬は庭のえさ台にもよくやってきます。大人まで育った鳥の寿命は、ふつう3年ほどですが、記録では10年以上生きた鳥もいます。
日本でよく見るシジュウカラは、ヨーロッパのものとはとても近い仲間です。また、日本の町で見るスズメは、イエスズメとは別の種類ですが、同じスズメの仲間です。
鳥を観察するときは
公園で鳥を見るときは、急に近づかず、少しはなれた場所からそっと見るのがおすすめです。鳥がこわがって飛び立つと、えさを食べたり休んだりする時間がへってしまいます。双眼鏡(遠くのものを大きく見る道具)を使えば、近づかなくてもよく観察できます。今回の研究は、人の何気ない行動が、鳥にとってはちがって感じられているかもしれないことを教えてくれます。
ここがポイント
- ヨーロッパ5か国の町で、37種類の鳥を2,701回観察
- 女の人が近づくと、鳥は男の人のときより約1m手前で逃げた
- 5か国すべて、37種類すべてで同じ傾向が見られた
- 理由はまだ不明で、においや体つき、歩き方などが手がかりとして考えられている
出典: ScienceDaily(英国生態学会の発表)(2026年10月22日)、Sci.News(2026年5月1日)、英国鳥類学協会(BTO)「Great Tit」(2026年10月26日閲覧)
