写真はイメージです(Photo: Michael Jerrard / Unsplash)
アメリカ南西部のニューメキシコ州の森で、めずらしい野生のネコ「カナダオオヤマネコ」が自動カメラにうつりました。ニューメキシコ州立大学の研究チームによると、州内でこのネコの記録が確認されたのは25年以上ぶりです。
森のカメラがとらえた一枚
写真がとられたのは、ニューメキシコ州北部にあるカーソン国有林です。ニューメキシコ州立大学の大学院生ウィリアム・グルームズさんが、研究のデータを集めるため、この夏に森の中の120か所に自動カメラをしかけていました。自動カメラは、動物が前を通ると、その動きに反応してシャッターが切れるしかけです。
グルームズさんは、数か月たってから大量の写真を一枚ずつ調べていたところ、リスやウサギ、クマ、キツネなどにまじって、オオヤマネコらしい姿を見つけました。写真を専門家に送って確かめてもらい、カナダオオヤマネコにまちがいないと分かったそうです。このニュースは2026年10月23日に地元のテレビ局が伝えました。
どんな研究をしていたの?
グルームズさんは2年かけて、森のつくり(木の生え方や混み具合など)が、そこにすむ生きものの多さにどう関係するかを調べています。対象はアメリカのロッキー山脈の南の地域で、10種類の動物に注目しています。この研究は、大学と、野生動物のすみかを守る活動をしている団体「ワイルドランズ・ネットワーク」が協力して進めています。
来年の夏には、2回目の調査も予定されています。今回の発見をきっかけに、オオヤマネコがほかにもいるのかどうか、さらにくわしく分かるかもしれません。
カナダオオヤマネコってどんな動物?
カナダオオヤマネコは、ネコのなかまの肉食動物です。アメリカ魚類野生生物局によると、体の長さは75〜90cmほどで、体重はおすが平均10kgくらい、めすが8.5kgくらいです。日本の家の猫の2〜3倍ほどの重さになります。
見た目の特ちょうは、耳の先にある長い黒い毛の房と、先が黒い短いしっぽ、長い後ろ足、そしてとても大きな足です。足の裏までふさふさの毛が生えていて、まるで「かんじき」(雪の上を歩くための道具)のように、深い雪の上でもしずまずに歩けます。
すんでいるのは、おもにカナダやアラスカのトウヒやモミの深い森です。アメリカ本土では、北の方の州やロッキー山脈の高い山など、雪の多い森にかぎられています。
えものはほぼ「ウサギ」だけ
カナダオオヤマネコのいちばんのえものは、カンジキウサギという野ウサギです。このウサギも、オオヤマネコと同じように雪の深いトウヒやモミの森にすんでいます。
カンジキウサギの数はおよそ10年ごとに増えたり減ったりをくり返し、オオヤマネコの数もそれに合わせて変わることが知られています。ウサギが少ない年は、子ネコが育ちにくくなるといいます。
なぜ今回の発見が大事なの?
アメリカ本土のカナダオオヤマネコは数が少なく、2000年から、国の法律で「絶滅のおそれがある」種に指定されています。となりのコロラド州では、1999年から2006年にかけて、よそから連れてきたオオヤマネコを山に放し、数をもどす取り組みも行われました。
指導する教授は、今回の記録が、国や州がこの動物やすみかをどう守っていくかを考えるうえで、新しい材料になるかもしれないと話しています。一方で、この地域では暑く乾いた気候のため山火事の心配が高まっていて、燃えやすい木を減らす作業も進められています。オオヤマネコが好む木の多い森をどう残すかは、これからの課題です。
豆知識:日本のヤマネコは?
日本の野山には、オオヤマネコのなかまはすんでいません。日本の野生のネコは、長崎県の対馬にいるツシマヤマネコと、沖縄県の西表島にいるイリオモテヤマネコの2種類で、どちらも数が少なく、大切に守られています。遠い国の発見も、身近なヤマネコを守ることとつながっています。
ここがポイント
- ニューメキシコ州の森の自動カメラに、カナダオオヤマネコがうつった
- 州内での記録は25年以上ぶりで、専門家も確認した
- 大きな足で深い雪の上を歩き、おもにカンジキウサギを食べる
- アメリカ本土では絶滅のおそれがある種として守られている
出典: KFOX14(2026年10月23日)、U.S. Fish and Wildlife Service「Canada lynx」、Wildlands Network(2022年10月19日)、Minnesota DNR「Canada lynx」
