写真はイメージです(Photo: Andrey Tikhonovskiy / Unsplash)
ヘビやトカゲ、カメなどの爬虫類を売ったり見せたりするお店に向けて、国が守るべきルール(基準)づくりを進めています。環境省の専門家の会議が10月14日に開かれ、夜の展示や、えさにする虫の扱い、具合が悪いときの対応などについて考え方の案が示されました。
10月14日に専門家の会議
開かれたのは、環境省の「爬虫類飼養管理ワーキンググループ」の5回目の会議です。「飼養管理」とは、動物を育ててお世話することを指します。会議のようすは、環境省のYouTubeチャンネルでも配信されました。このグループは2022年11月に1回目の会議を開き、少しずつ話し合いを重ねてきました。
日本には「動物愛護管理法」という法律があり、ペットショップなど動物を売ったり展示したりする「動物取扱業者」は、国が決めた基準を守る必要があります。犬と猫の基準は2021年6月から始まりました。犬・猫以外のほ乳類については、2026年7月に基準の案がまとまっています。爬虫類はその次の段階として、専門家が細かい中身を話し合っています。
夜の展示やえさの虫について
今回の会議の資料では、まず展示する時間が取り上げられました。爬虫類は、まわりの温度によって体温が変わる「変温動物」で、種類ごとに活動する時間と休む時間がはっきりしています。それなのに休む時間なしに展示されている、という問題が指摘されています。カフェやバーで夜に爬虫類をかざるような例も、話し合うべき課題としてあげられました。
案では、夜を「午後8時から次の日の午前8時まで」と考え、とくべつな事情がある場合は、音や光に十分気をつけるよう求める方向です。夜に活動する種類への配慮も示されています。
えさについても話し合われました。爬虫類のえさになるコオロギは鳴き声が大きく、ショウジョウバエなどの小さな虫は店の外へにげ出すおそれがあります。案では、「鳴き声が外に伝わりにくくする」という今の基準の「鳴き声」に、えさの虫の声もふくまれると説明する方向です。
具合が悪いときや野生生まれの動物
やせたヘビやトカゲが売られていたり、病気のヘビがふれあい展示に使われたりする例があることも、資料にあげられています。案では、新しい基準をつくるのではなく、解説書で、具合の悪い動物をほかから離すこと、かかりつけの獣医師を決めておくこと、動物の様子を記録することなどをすすめる方向です。
また、爬虫類は野生でつかまえられて輸入された個体が多いのも特ちょうです。人になれさせる「馴化」を行うときは、動物が受けるストレスに気をつけるよう、すすめる案が示されました。
これからどうなる?
次の6回目の会議は今年度中に開かれる予定です。ケージの広さの考え方、自然な行動を引き出す設備、温度計・湿度計の設置、光をあてる時間や光の種類、運ぶときの扱い、水のあたえ方などが話し合われます。2027年度以降に、都道府県などの意見を聞き、中央環境審議会(国の環境について話し合う会議)や、国民から意見を集める「パブリックコメント」を経て、正式に決まる予定です。今後の話し合いで中身が変わることもあります。
豆知識:爬虫類のお世話で大切なこと
大阪市が動物を扱うお店の人向けに作った講習の資料では、爬虫類の体調が悪いサインとして、食欲が落ちることや、動きが少なくなることがあげられています。そんなときは、まずケージの温度や湿度を確かめることが大事だそうです。ビタミンDは日光浴や紫外線ライトでおぎなえますが、市販のライトは近くから当てないと効果が出にくいとも書かれています。
また、多くの爬虫類は、人がおなかをこわす原因になる「サルモネラ菌」を持っています。さわったあとは、石けんでしっかり手を洗いましょう。爬虫類の体調がおかしいと感じたら、自分で判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。
お店選びの参考にも
この基準はお店が守るためのものですが、これから爬虫類を家族に迎えたい人にとっても、よいお店を見分けるヒントになります。休める場所があるか、温度計や湿度計があるか、店員さんが育て方をていねいに説明してくれるかなどを見てみるとよいでしょう。
ここがポイント
- 環境省の専門家会議が10月14日、爬虫類を扱うお店の基準づくりについて話し合いました。
- 夜の展示、えさの虫の鳴き声、具合が悪いときの対応、野生生まれの個体へのストレスなどが議題になりました。
- ケージの広さや温度・光の管理は次回以降に話し合い、2027年度以降に手続きを進める予定です。
- 爬虫類にさわったら手洗いを。体調の心配はかかりつけの獣医師に相談を。
出典: 環境省「爬虫類飼養管理ワーキンググループ(第5回)の開催について」(2026年10月8日)、環境省「爬虫類飼養管理ワーキンググループ(第5回)資料」(2026年10月14日)、大阪市「動物取扱責任者講習 爬虫類編」(令和7年度)
