写真はイメージです(Photo: Erwin Bosman / Unsplash)
年をとった犬の「もの忘れ」を、おやつさがしなどのゲームで調べるテストを、アメリカのアリゾナ大学の研究チームが作りました。239頭の犬で試したところ、何度くり返しても結果が安定していて、7〜8歳ごろの小さな変化も見つけられる可能性があると分かりました。
おやつを使った3つのゲームで調べる
アリゾナ大学が10月に発表したこの研究は、動物の知能を研究する専門誌「アニマル・コグニション」にのりました。中心となったのは心理学部の大学院生ステファニー・ハーグレイブさんで、獣医学部のエバン・マクリーン教授がまとめ役をつとめました。
テストの名前は「CANID(キャニッド)」です。犬の記憶力や、気持ちを切りかえる力、目の前のおやつにすぐ飛びつきたい気持ちをがまんする力を、3つのゲームで調べます。かかる時間は全部で40分ほどです。
- 筒のゲーム:両はしが開いた透明な筒の中におやつを落とし、正面から鼻をぶつけずに、横の入り口に回りこめるかを見る
- かくれたおやつのゲーム:4つの木の板のうち1つのうしろにおやつをかくし、最大40秒待ったあとでも場所を覚えているかを見る
- 回り道のゲーム:さくを回りこんでごはんを取りに行く。通れる道をこっそり入れかえ、新しい道にすぐ気づけるかを見る
3つのゲームの点数を合わせて、1つの点数にします。
239頭で試して分かったこと
研究チームは、アリゾナ州ツーソンとカリフォルニア州の犬239頭にテストを行い、その多くを半年後と1年後にもう一度テストしました。すると、点数はくり返しても安定していて、人の脳の働きを調べるテストと同じくらい信頼できる結果になりました。
犬の認知症(脳の働きがおとろえ、もの忘れなどが目立つ状態)は、はっきりした様子が見えるのはふつう12〜14歳ごろです。このテストなら、それより前の7〜8歳ごろに起きる小さな変化をとらえられる可能性があるといいます。
体の大きさに関係なく、同じ道すじ
マクリーン教授によると、データからは、犬の脳の働きのおとろえ方は体の大きさに関係なく、ひとつの同じ道すじをたどるように見えるそうです。グレート・デーンのような大型犬は、大きなおとろえが出る前に寿命をむかえることが多く、チワワのような小型犬は長生きする分、変化が目に見えやすいと考えられます。
認知症になった年配の犬の脳には、人のアルツハイマー病と似た「アミロイド斑」というたまりものができることがあります。人と同じ家で暮らす犬を調べることは、犬だけでなく人の研究にも役立つと期待されています。
家でできるゲームも準備中
CANIDは、訓練を受けたスタッフと専用の道具が必要なため、今のところ家では行えません。そこで研究チームは、飼い主が家で試せるかんたんなゲームも作っていて、アメリカで約5万頭の犬を追いかける大きな研究「ドッグ・エイジング・プロジェクト」の参加者が使えるようになるかもしれないとしています。
このプロジェクトの2024年の研究でも、年をとった犬ほど、かくしたおやつの場所を時間がたってから思い出すゲームの点数が下がる傾向が見られていました。2022年の別の調査では、10歳をすぎると、年れいが1つ上がるごとに認知症になるリスクが大きく高まることも報告されています。
日本の飼い主にできること
日本でも、年をとった犬と暮らしている人はたくさんいます。慣れた場所でまごつく、寝る時間のリズムが変わる、トイレの失敗がふえる、家族とのかかわり方が変わるなど、気になる様子があっても「年だから」と決めつけず、早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。目や耳、関節の病気など、ほかの原因がかくれていることもあります。
ふだんの暮らしでは、においをかぎながらの散歩や、おやつをかくしてさがす遊びなど、頭と体を使う時間を楽しむことができます。ハーグレイブさん自身の愛犬も、来年1月に11歳になるチワワのミックス犬だそうです。
ここがポイント
- アリゾナ大学が、おやつを使う3つのゲームで犬の脳の働きを調べるテスト「CANID」を作った
- 239頭で試し、半年後・1年後にくり返しても結果が安定していた
- はっきりした認知症が出る前の7〜8歳ごろの変化をとらえられる可能性がある
- 気になる様子があれば、早めにかかりつけの獣医師に相談を
出典: アリゾナ大学の発表(Mirage News掲載)(2026年10月23日)、Dog Aging Project(2024年9月12日)、CNN(ABC17NEWS掲載)(2022年8月26日)
